のりーのアトリエ

家具屋・FP。思いついたことをつらつらと綴っています。主にfusion360のパラメトリックモデリングについて、ずっと書き続けます

パラメトリックモデリング基礎3

運送屋とケーキ屋と家具屋の3足のわらじを履いてると、全部違いすぎて全く飽きないのでいいなあと思ってます。どの業種も色々な悩みや強みがあって面白いですね。今作ってるこの壁面収納、ケーキ10000個分の値段かあ。でも社員の給料変わらんなあ。みたいな。なるほどこのトラックはガソリン代月58万か。ガソリン代稼ぐためにはケーキは・・・みたいな。。。頭がパーになりそうです(笑

 

 

sanyo-san.hatenablog.com

 

sanyo-san.hatenablog.com

 

さて、第1回では、パラメータで動くよ。という事をお伝えしました。

第2回は、パラメータに変数が使えるよ。という事をお伝えしました。

 

使っていくうちに分かる事なので、今回は「こんな時に使えるよ」ってのを事例で示したいと思います。

 今回作ろうとしてるのはこんなやつ(w,h,d)=(400,400,20)

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横から見るとこんな感じ

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50mmの枠があるんですが、5mmの部分で掻き込みしてあり、ガラスを細長い板で挟んでる感じです。扉のサイズと仕様が決まれば、一発ですね。(ガラスの面取り等は今回やりません)

 

 スケッチで適当に四角形を描きまーす

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リボンの修正に、Σのアイコンがあります。

 

適当にw,h,d=横、縦、奥行 を入れます~。ユーザパラメータの右の、+のボタンを押します。

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寸法をw,hにします~

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タテヨコ、400,400になりました。

 

押し出し!-dにします(マイナスなのは今は特に気にしなくていいです・・・)

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400,400,20の板が出来ましたね。ここから、ガラスの部分を作っていきます。

 

スケッチで、-45と-50でオフセットします。

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とりあず、50㎜より中は全部押し出しで切り取ります

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45mm-50mmの部分の数式が大事!

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パラメータで定義した、d(20mm)+5ミリにします。これで、常に、板の厚み-5mmという仕様のものが作れるようになります。

 

裏から見た図。キレイに掻き込みできました。

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さて、板は出来たので、次はガラスです。

ガラスは、縦横、それぞれ2ミリ小さく発注してます。3DCADの場合には、そのまま発注書にも応用も可能ですから、正確に書かなければなりませんね。

 

スケッチで描いていきます。同じスケッチ平面を利用して描きます。(ガラスにも細工する場合には分けたほうがいいかもしれません。)

適当に四角形を描きます(ショートカットR)

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右下の四角形が新しく作ったものです。

 

45ミリの四角形から1ミリずつ。そして、ガラスのwもhも、wとhが決まればそのサイズが決まりますよね。w-45*2(枠部分)-1*2(隙間)。hも同様。

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いかがでしょうか。

四角形が出来上がりましたかね?

ガラスの寸法は計算しなくてもオッケーです。では、押し出します。スケッチを終了して・・・

 

ガラスは、スケッチ名面から、-d+5(枠部分)+1(隙間)(全然描いて無かったですが、前後にも1ミリの遊びを設けてます)

から、4ミリのガラスを押し出します。プラスとマイナスが慣れるまで時間かかるかもしれませんね~。

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ちなみに、雰囲気を出すためにサクラの外観にしてます。

 

横から見た断面図

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おー。1ミリの隙間がそれぞれにありますね。素晴らしい。

完成(ガラスの色もいれてみた)

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パラメトリックに作ってあるので、寸法変更が容易です。(というかこのためだけにやってます)

w250*h500に変更。400×400を斜めにスクショしてるので変化が分かりづらい

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200*200

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厚みd40

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気を付けなきゃいけないのは、w,h等、50mmの枠の幅より小さいサイズ(100㎜以下)にするとバグったり動かなかったりします。まあ3Dなので、その辺も現実世界に忠実っちゃ忠実ですね。

 

完成したので、とりあえずレンダリング。ガラスに反射しててかっこええですね。

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いかがでしたでしょうか。

パラメトリックにすると、サイズ変更や仕様変更に強くなります。

今回はただの扉をくり抜いてガラスをはめただけですが、実際には枠をもっと加工を加えたり、ガラスにも様々な種類があったりします。それらが設計の工数が多ければ多いほど、パラメトリック設計は強みを発揮できます。

当社は別注家具を作っておりますが、一回目の図面は、正確であることはほぼありません(汗 ですが図面も欲しいという要望にお応えしつつお仕事をしております。当社には必須のテクニックです。

 

次回はさらにもう一歩踏み込んだ所に突入したいと思います。

 

お仕事について

普段は家具屋です。

家具屋でも設計ではなく、経営しております。

 

ただ、まだ1年余の経験のため、特に詳しいわけではなく、2Dから3Dに図面を移行する作業をしました。

 

その中で、パラメトリックモデリングを覚え、社員と一緒になって開発してきました。

 

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このような図面を、数値だけで描けるようにしてます。お客様に、できる限り早くイメージのできる図面を渡すため、パラメータで入力できる仕組みはかなり有効です。

 

昔はなかなか引き合いはなかったり、要らないって言われたら、そもそもパソコンが家具屋にないとか言われてましたが(!)、今はかなり受け入れられています。

 

まだまだ改善の余地があるので、頑張っていきたいと思うところです

パラメトリックモデリング基礎2

昨日、音信不通の友人と会ったら、「のりーシックだった」と言われて有頂天になりました。どうも、のりーです。

 

前回の記事の続きです。前回の記事はこちら↓
sanyo-san.hatenablog.com

 

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前回と同じような立方体を使います。

w,h,d,wcl,hcl = 50,50,50,50,150

です。

 

こちらの画像を、もう少しパラメータをいじっていこうと思います。

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w,h,d,wcl,hcl = 50,w*2,w*4,w/2,w/2

にしました。

 

 

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こんな感じ。wを一つ動かすだけで変化するようになりました。

試しにwを動かしてみると・・・・

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この通り、wの値に応じて全て変化します~。

 

縦横の比率が決まっているもの等にはとても強い味方になりますね。

 

次回はもう少し応用を効かせてみようと思います。

パラメトリックモデリング基礎

パラメトリックモデリング第一回

 

基本的には、基礎的な事は出来るようになっている前提でお話させていただきます。

 以下の本で僕は勉強しました。

Fusion360操作ガイド ベーシック編 2019年版―次世代クラウドベース3DCAD

Fusion360操作ガイド ベーシック編 2019年版―次世代クラウドベース3DCAD

 
Fusion360操作ガイド スーパーアドバンス編 2019年版―次世代クラウドベース3DCAD

Fusion360操作ガイド スーパーアドバンス編 2019年版―次世代クラウドベース3DCAD

 
Fusion360操作ガイド アドバンス編 2019年版―次世代クラウドベース3DCAD

Fusion360操作ガイド アドバンス編 2019年版―次世代クラウドベース3DCAD

 
Fusion360操作ガイド ベーシック編―次世代クラウドベース3DCAD

Fusion360操作ガイド ベーシック編―次世代クラウドベース3DCAD

 

 

さて、それはいいとして、パラメトリックモデリングです。

パラメトリックモデリングとは、3D CADで形状を作成する方法の一つであり、寸法値として定義された変数の値や拘束条件を指定して形状を作成する方法のことである。 パラメトリック・デザインとも呼ばれる。 変数の値を変更するだけで類似形状を容易に作成できるため、既存製品のデータを改良して新規設計を行う場合などに有効である。

ということです。 

 

第一回目なので簡単にさらっと

 

まず、立方体より手前。四角形を書きます~。

基本的にはパラメータは全て入れて作るので、四角形の左上のw,z座標は入力します(5,4)

そして、四角形のタテヨコ(47,22)を入れて作ってます~。

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次に、上にあるリボンの「修正」から、Σのアイコンを探します。無かったら修正を押した中にあります。これが全て!

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で、パラメータを開いたら、+ボタンを押します。すると、パラメータの名前、数値、単位、コメントを入れる所がありますので、入れていきますl。コメントは省略可能です。

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w,h,wcl,hcl,dとしました。幅、高さ、四角形の左上の座標、奥行の順。(100,100,10,10,50)

 

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こんな感じ。スケッチで、入れた数値を、数値ではなくパラメータの文字を入れます。

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100*100*50の立方体が出来た

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再びパラメータから、数値を入れ替えたらそれだけで・・・

 

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形状が変わった・・・

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今回は以上です。

次回は、少しだけ応用してみたいと思います。

パラメトリックモデリングをはじめたきっかけについて・・・

先日の記事にも書いたんですが、

 

友達に、「あなたのやりたいことって、パラメトリックモデリングやったらいいんじゃね?」と言われて僕は、もう一人、先輩にも聞きました。

 

パラメータを入れたら家具の位置や形状が変わる。これが3Dの良いところだ!!

 

なんて記事も結構見かけて、「おー。こりゃいいぞ」と思いました。

 

ただ、2018年1月時点で僕は、3DCAD触ったか触ってないかというレベル。2DCADも前職の不動産業の時に、土地の境界点をすごく低い制度で入れた程度。。。出来るのかなあ?と思い、信頼している先輩の所に相談に行きました。すると・・・

 

「お前なら出来るんちゃう?」と、太鼓判。

中小企業診断士でMBAの先輩が言うなら間違いないわ~と思い、ひたすら製作!!

 

プログラミングの知識ゼロ。3DCADの知識ゼロからのスタート

 

が・・・全然うまくいかず。毎日毎日ひたすらfusionとエクセルVBAとにらめっこ・・・どっちもわからんし・・・(汗

 

と言いつつ、半年間、無休で作り続けた結果、広島県イノベーションチャレンジ事業にも認定いただき、また沢山の人々の力を借りるというか迷惑をかけて、完成しました。

 

家具作りの素人が30分で家具設計できるプログラム~へきこさん

 

実際、これからこのウェブサイトでも紹介する3D図面は、当社の経理の社員が描いているプログラム紹介用のものがほとんどです(当社はインテリアショップ・家具店さんのお客様が多いため。実際にその寸法通りで製作できるものではありますが)

 

で、完成して、二人の僕の背中を押してくれた人に報告すると

「え?まじで?」

 

との反応。

 

「え?なんで?出来るって言ったじゃん」と言うと、

「いやあ、うちの会社でやってた人、実は途中でやめちゃって、良いところまでいったんだけど完成はしてないんですよ」と・・・

 

ええええ!早く言ってくれたら・・・

 

で、先輩は・・・

 

「お前なら出来ると信じてやった」

 

信じてやった・・・どんだけ上から・・・

 

まあ、出来たから文句言えないんですけどね。

 

まあ、良く、たまたまいろいろあって出来たものが発明みたいな事を言うから、有難いんですけどね。途中で経過報告しない僕も悪いし・・・

 

というわけでこれから、パラメトリックモデリングについていろいろ書いていきたいと思います。以下の図面も素人が3D化したものです。

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パラメトリックモデリングについて

このブログでは、主に「パラメトリックモデリング」についての情報に絞ってお届けしようと思ってます。

 

なぜ?って言われてもなかなか難しいんですが、一番苦労したから、という事と、3DCADは枠が広すぎて、まあ、一番特徴的な事してるなあって思う、パラメトリックな事の情報だけがまあまあ揃っていたらいいのかなあと思うからです。

 

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家具製造メーカーの設計図を2Dから3Dに変えよう、と思った時に、最も苦労したのは、3D化するのは楽なんだけども、遅い。という事です。

フリーハンドで複雑なプロダクトを一つ作るのには適しているようには思うんですが、家具は全て、立方体のただの「板」が沢山集まって作られています。

 

なので、3Dにはかなり向いてないんじゃないかな~なんてことを途中から思い始めました。その時に仲間に教えてもらったのが「パラメトリックモデリング」でした。

 

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・家具はほとんど、裏板、天板、側板2枚、地板1枚の箱で出来上がっている。

・扉が付いたりつかなかったり。

・扉の種類も、ゆーても100種類も無い

・問題は、それらが全てサイズ違いであること。

これらが、3D化が難しいなあと思う原因でした。

 

・サイズは違うけど、家具全体の幅が決まって扉の枚数が決まれば、電卓叩けば一枚一枚の扉サイズも自動的に決まる

・それらが膨大な数あるだけ

・3DCADでパラメトリックモデリングすればいんじゃね?

という結論に至りました。

 

で、やり始めると、

・縦横高さが決まって、天勝、側勝、地勝とか決まったら天板も側板も地板もサイズ決まるんじゃね?

・扉位置と高さが決まれば丁番の数と位置も決まるんじゃね?

・扉の後ろに箱付けたら引出作れるんじゃね?

 

と言った具合に調子に乗って出来上がったのが、壁面収納作成プログラム「へきこさん」でした。

 

当社は、オーダー家具を作っているので、どこの数字でもいじれるように柔軟性を持たせるためにエクセルVBAで書いてますが(コード化技術が無いとも言う・・・)、

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この家具も、同じ理屈で、当社の経理の社員が30分程度でゼロから作っています。すげー。

 

勿論、プロのプログラマーの方から言わせればもっと早く、もっと簡単に作れるのかもしれませんが、fusion360という個人の方が無料で利用出来てお手軽なソフトを使って、少しでも多くの人に何か情報を発信出来たらなあと思いますので、是非これからもよろしくお願いしま~す。

 

3DCADについて

1年半前に家具屋に転職しました。

 

それまでは不動産屋。

宅建士・不動産コンサルティング技能士宅建マイスター・FPと、色々な資格を持っていたものの、他業種への転職でした。

まあ、前職は家族経営の少し大きいもの、くらいの規模だったので、社員が居る今の会社の働き方というものに興味があっての転職

 

最初のミッションは、家具設計図面の3D化でした。

 

と言っても全然簡単ではなく、fusion360というCADソフトを入れ、試行錯誤。社員は毎日毎日設計に追われているので、開発は自分が担当。

 

2Dより3Dのが遥かに時間がかかる。バグったら致命的。2Dなら、線一本一本描いていけばそのうち出来る。でも、一か所修正が入ると、上から見た図も横からも全部修正・・・ミスだらけ。このジレンマでした。

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3DCAD

 

3DCADは、一つの複雑なものをモデリングしたりとか、複数の市販や使いまわしのパーツを組み合わせて設計するのには向いていますが、一つ一つ、ほぼ同じパーツのサイズ違いというものは全然向いてませんでした。。。

 

というわけで、その日から色んな先輩や専門家にヒアリングして作り上げたのが、壁面収納設計支援プログラム「へきこさん」です。

 

その3DCADソフトのオタッキーな部分や、使い方の解説等もこのブログで出来たらいいなと思ってます。